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Sunday, May 4, 2025

カツカレー | Sauce au Cary | 帝国ホテル初代料理長 吉川兼吉氏のレシピ アレンジ第5版


うちのカツカレー。

元々の発祥は、帝国ホテル初代料理長を務めた吉川兼吉 (かねきち) 氏によるカレー (Sauce au Cary 🇫🇷) です。帝国ホテルは 1890 年 (明治 23 年) に開業。明治時代にこんな食材で作られたというのが驚きな一品。


以前の記事:

このカレー、材料自体は (ちょっとアレンジして) アメリカのスーパーで比較的簡単に手に入ります。現代では特に入手困難なものはありません。ヤシの実がない場合は、coconuts milk 缶で代用、生ハムがない場合は、豚肉のブロックやベーコンでよいはず。

このカレーを作る上で難しい工程はありません。

ただめんどいけど、作る価値はあります。



いま帝国ホテルのパークサイドダイナーで食べれる「ビーフカレー」は、1931 年に第8代料理長 石渡文治郎氏により考案されたもので、初代のレシピとは異なる。

したがって、1936 年 (昭和11年) の 二•二六事件当時に、炊き出しとして鎮圧部隊に提供されたものは、8代目考案のカレーの可能性が高い。

この貴重なレシピをもとに自宅で 2019 年ごろから作り始めて以来、いろいろ試行錯誤を重ねて、バージョン 5 に改訂。

原則はオリジナルに沿いながら、仕入れのしやすさと、アミノ酸うまみの相乗効果を高めるべく、ちょっとづつ独自アレンジを続けている。一番変えている点としては、(1) トマトの追加、(2) 生ハムのかわりに、豚肩ロース、(3) ベーコンの追加、です。


昨年作った説明動画:




変更点

  • スープに使う肉を豚肩肉から、牛肉の塊 (chuck roast) に変えてみました。
  • コンソメスープの代わりに、本物の生ハム、イベリコ豚 (Jamon Iberico) 原木の骨と野菜でスープをとりました。これは再現性がないので、次回以降は水か、インスタントのコンソメスープになりますが... 


牛肉の塊を使うヒントはこちらの大阪のカレー屋さんの欧風カレーの作り方から得ました。
https://youtu.be/Lm6WYU8J08I?si=mje5rUeQfF5Yxg_h&t=328

本格カレー カルダモン
大阪府 大阪市北区天神橋 6-5-3


ちょうどスープを取る段階で、大きな塊肉を焼いて鍋に入れ、最終的には「厚切り牛肉カレー」として看板商品のトッピングに使っています。

今回これを丸ごと真似ました。


牛肉は Chuck Roast を使いました。今日は奇跡的にセール $3.99 /lb



軽く塩をして、フライパンで各面を焼き、20 分くらいかけて焼き目をつけました。



この段階で、端っこの方はしっかり火がとおりつつピンク色。ステーキとしても食べれました。筋が多いので、煮込み料理にすると真価を発揮しそう。フライパンでしっかり表面に火を通す → トマトと赤ワインで 20-30 分煮込んで、いただくというのもよさそう。



この牛肉は、カレーを濾した後に、別の鍋でカレーソースでちょっと煮て、翌日以降の厚切り牛肉として使いました。



今回はスープが凄い: イベリコ豚の生ハム原木


スープは、本物の生ハムの原木の骨を使っています。これは偶然の産物で、今後はなかなか仕入れるのが難しい (i.e. 事実上不可能) のだけど、Jamon Iberico、イベリコ豚の生ハム原木を頂戴しました。

初代料理長のカレーは、こういう「生ハム」を出汁にしていたんだな。



冷蔵庫にあった適当な野菜を加えてスープにします。キャベツ、ピーマン、茄子、レモンを入れました。




スープを作らない場合は、水や、固形スープの素を溶かしたので十分美味しいです。



濾した野菜はタルトにする


カレーを作る工程で一度濾します。濾した野菜は、サイドメニューを作るのに使う。

お焼きと呼んでいますが、要はタルト。スキレットに、薄く切ったじゃがいもを敷き詰めて、そのまま火にかけます。なんでじゃがいもかというと、たくさん家に余っているから。ない場合は、冷凍のタルト生地に流し込んでもよいかと。




そこにチーズを削って溶かし、隙間を埋めたり、さらにじゃがいもを上にのせて、タルト生地のような形に焼き固めていきます。



そこへカレーの野菜と肉などを敷き詰めます。さらにチーズを削り、パン粉を散らして、440 ℉のオーブンで 20 分ほど焼いて完成です。



出来上がりがこんな様子。仕上げにパセリをふっています。



切り分けていただきます。カレーができる前に、食べすぎないように注意。






今日のワイン


Far Niente
2022 Cabernet Sauvignon
Oakville らしい cab. 若いけどこの時点で完成度が高い味です。勿論 bottle aging させたほうが尚よしかと。



Rhys
2022 Santa Cruz Mountains Pinot Noir (fkn Alesia)
もともと Alesia という製品で売っていたセカンドラベル。これで充分いい感じ。今は山に行かなくても K&L で手軽に買えるようになりました。



Tablas Creek
2021 Le Complice
59% Syrah, 32% Grenache, 8% Terret Noir, 1% Muscardin
Rhone ブレンド。Paso / Central Coast では珍しい洗練された味わい。
おそらく Syrah の黒胡椒の香りが効いてます。



Ridge
2016 Lytton Estate Primitivo
88% Primitivo, 12% Carignane
Zinfandel の仲間ですが、Zin よりも優しい感じがしました。



Monochrome Wines
2023 North By Southwest
75% Gewurtztraminer, 25% Albarino
葡萄 (honey pearl grape) のような甘く爽やかで高貴な風味。




作り方 (v5)


仏語名 = <ソース オー カリ> Sauce au cary
英國名= <カレーソース> Curry Sauce

■ カレー掛汁(約 2 リットル / 12 皿分) 
  • 玉ねぎ 5個 (1,000 g)
  • バター 50g
  • ベーコン 2 枚
  • 牛肉 (chuck roast) 2 lb / 1000g
  • セロリ 500 g
  • にんじん 200g
  • パセリ 1 本
  • 月桂樹の葉っぱ 3枚
  • クローブ 10 個
  • 小麦粉 190 g
  • カレー粉 52 g
  • トマト 缶 (Diced Tomato) 1
  • 水 2,000 ml or コンソメスープ 2,000 ml
  • やしの賽(ココナッツ)1 個 (300 ml) or ココナッツミルクの缶詰
  • ライム (or レモン) 1 個の絞り汁
  • 塩 15 g
  • 赤ワイン (deglaze 用)

■ 製法
  1. 玉ねぎを細かに刻み、バターで鳶色になるまで攪拌して焦がさぬように 60 - 120分程度炒める。鍋底に焦げついたときは、赤ワインで deglaze する。
  2. コンソメスープ (野菜: きゃべつ、たまねぎ、にんじん等、豚骨、鶏肉など) を作ります。固形スープの素を水に溶かしたのでも良し。なければ、水で OK。
  3. フライパンで、次に細かい賽切にしたベーコンを炒める。
  4. フライパンで、牛肉 (chuck roast) を各面 4 分づつくらい、20 分程度しっかり焼いて焼き色をつける。
  5. フライパンで、小麦粉(メリケン粉)を 5 分間いためる。焦がさぬように注意。さらにカレー粉を加え、2 分間炒める。
  6. セロリ、にんじんは、細かく刻んでおく。
  7. セロリ、にんじんを 1 のたまねぎの鍋に入れて炒める。
  8. さらに鍋に水 (or コンソメスープ) を加え、中火にする。玉ねぎが焦げ付きやすいので、この時点で水分を加える。
  9. ベーコンと、牛肉を鍋に入れる。
  10. トマト缶を加える。
  11. パセリの茎を束ねて細糸で固く堅くしばったもの、月桂樹の葉、クローブを加える。
  12. 鍋を火から下ろし、少し冷ました後、カレー粉を加えて、よく攪拌して混ぜあわす。
  13. 1 度強火で煮立てて、鍋を文火(弱い火力)に直し、ヤシの実の汁を加える。
  14. 塩で調味します。この段階で調味することで、タルトや chuck roast にしっかり味がつきます。
  15. 静かに30分煮る。
  16. 毛篩(ふるい:馬毛の古いをさすと思われる)で濾し、もう一度塩味を整えます。
  17. 食卓に送る間際にライムの絞り汁を加えよく混ぜ合わせてしあげるのであります。


玉ねぎを炒め始めたところ。


30分経過。焦げ付くときは、赤ワインや水でこそげとりながら炒めます (deglaze)。


120 分経過。普段は 1 時間でこの状態になるのだけど、バターを入れて炒めたせいか油分が膜となって水分が抜けづらかったのか、倍の時間かかりました。


セロリを加え、焦げ付きを防ぐため、すぐにスープを加えます。


牛肉とトマトを追加。今日は、にんじんとベーコンは無し。代わりに、ribeye ステーキの切れ端が入っています。


パセリを追加。


このあたりでクローブ (10個)  と月桂樹の葉 3 枚くらい入れます。



残りのスープを加え、カレー粉を追加したところ。ここで一度沸かします。


火を止めて、ココナッツを追加。

その後弱火で、30 分くらい煮立てます。この時点で塩味もつけます。
特に何時間も煮込む必要はありません。



具材とスープを漉して分ます。濾した具材は、上記の「お焼き」になります。塩を最終調整し、ライム(かレモン)を加えて完成です。



具がないので、カツカレーにします。



カツカレー完成。カレーは準備開始からおよそ 4 時間くらいかかるつもりで段取り。



Saturday, May 3, 2025

1st 2024 Monte Bello Assemblage | 6 年ぶりの Monte Bello 試飲会


Ridge のユニークな点の一つに看板商品の Monte Bello の途中経過を試飲させてくれるところ。

Monte Bello Assemblage” であります。

2019 年以前までは、毎年春先に 3 回程度、1st, 2nd, Final Assembly でイベントがありました。

2020 年は COVID-19 で中止。

2021 年からは、大干魃や大火事で、そもそも葡萄の生産が激減、メンバーにすら Monte Bello や Estate Cab などが行き渡らない状況。

そんなこんなで 6 年ぶりの開催。

今年は 2 回行う予定だそうだ。


今日飲んだのは、2 月にブレンド•組み立てしたもの。

2024 Monte Bello
73% Cab, 18% Merlot, 6% Petite Verdot, 3% Cab Franc
https://www.ridgewine.com/about/news/assemblage-update-on-the-2024-monte-bello/






これまでと違って良かった点は、ブレンドした Monte Bello のほかに、個別の部品サンプル (component barrel sample) を 4 つ飲めた点。
  • 2024 Cabernet Sauvignon 100%
  • 2024 Merlot 100%
  • 2024 Petite Verdot 100%
  • 2024 Cabernet Franc 100%
どれもまだワインとしては種のような状態ですが、Petite Verdot 100% はかなり希少。

このままブレンド無しで 10 年後ぐらいに飲んでみたいと思いました。
Cab Franc はたまに単体でリリースもありますが、過剰生産になったときかと。





他、新作の Monte Rosso Zinfandel, Rose, Frediani Ranch もいただきました。

Rose は本当に良くなりました。夏の暑い日の、キリッと冷やして最初のボトルとして開けたい。

Frediani Ranch は, 40% Valdiguie, 37% Petite Sirah, 23% Charbono というかなり珍しい組み合わせ。1970 年代の Napa ではわりとよく行われていた 3 種ブレンドらしい。



 



次回の Assemblage では、5 月にブレンドしたものをいただけるそうだ🍷


Wednesday, April 30, 2025

Ribeye ステーキと Bloom’s Field (Domaine de la Cote, Pinot Noir) などワイン試飲会


久しぶりにステーキとワインをいただく会です。

主役はワイン。それに合わせてステーキと前菜のパスタ。

2 月以来、久しぶりに家で料理をしました。


今日はなんだかんだ7種類。元々Ridge の Klein Cabernet Sauvignon を飲む予定だったところに、Pinot Noir (Bloom’s Field)の試飲も加わった。
  • Ridge: 2024 Alder Spring, Falanghina
  • Ridge: 2023 Lone Oak Chardonnay
  • Ridge: 2023 Petaluma Gap, Pinot Noir
  • Etude: 2022 Forte, Pinot Noir
  • Domaine de la Cote: 2023 Bloom’s Field, Pinot Noir
  • Ridge: 2017 Klein Cabernet Sauvignon
  • Promontory: 2018 Penultimate, Napa Valley Red Wine (Cab blend)


サラダ

いつもの定番サラダ。葉っぱ + トマト + きゅうり (baby arugula, cherry tomatoes, cucumber) + いつものドレッシング

今日は、仕上げにズッキーニの塩焼きを乗せてみた。生野菜に、焼き野菜をのせるのもいいと思う。焼き野菜は、生よりもたくさん量を食べれる点もいい。

ここに鶏肉と卵をのせると、Entre Salad に進化する。




前菜


ちょっと前に作ったパスタの改変版:

イベリコ豚の生ハムと椎茸のパスタ (Jamón Ibérico & Sedani)
https://www.seihiguchi.com/2025/04/jamon-iberico-sedani.html

脂身だけを弱火で加熱して脂を抽出。




マッシュルームは 1 lb (6 人分) をスライスし、油をひかないで、フライパンで弱火でじわじわ 10 分炒める。水分が出てきていい感じに火が通る。




パスタが茹で上がったタイミングで、生ハムの切れ端、脂、昆布水と和え、塩で調味して完成。あと thyme、粉山椒も少々加えました。





ステーキ

ribeye を 2.5’’ にカットしてもらい、



肉のブロック 6 面を、大体 30 分くらいかけて弱火で火を通す。





今日は久しぶりに焼いたこともあり、ちょっと焼きすぎでした。特に最初に焼いた面が、グリルからなかなか離れず、火が通り過ぎた。シーズニングももっと強くしてよかった。



赤ワインとバルサミコ酢のソースが酸味が強すぎ、バターも入れすぎであまり良い出来ではなく、全体としては蛇足になってしまった。これだったら、塩とライムで食べるのでよかったかも。

赤ワインの煮詰め方、材料の分量のチェックが必要であります。






今日のワイン


Ridge: Alder Spring, Falanghina, 2024
真夏の暑い日に、最初に飲みたい一本。




Ridge: Lone Oak Chardonnay, 2023
日本限定の Chardonnay。

Estate Chardonnay (や Monte Bello Chardonnay) は人気商品で、日本市場になかなか流通しない事情があり、Russian River の葡萄で日本市場向けに作ったものを逆輸入したものです。

もともとの葡萄の提供農家 / ワインメーカーよりも、美味しくできたらしい。やはり作り方は大事だ。




Ridge: Petaluma Gap, Pinot Noir, 2023

今年から新しい畑の葡萄に変わった。




Etude: Forte, Pinot Noir, 2022
Santa Rita Hills, Lompoc の葡萄で作られた Etude。
Bloom’s Field と比べたかったので、近いエリアの葡萄ということで開けてみた。製造自体は、Napa で行われている。




Domaine de la Cote, Bloom’s Field, Pinot Noir, 2023
今日の主役。Somm 3 を観てからずっと飲んでみたかった pinot noir. wait list に入れるも全然買えず、今年ようやく買えました。


Ridge Vineyards, Somm 3 の上映会 | パリの対決 Pinot Noir バージョン (2018年12月)
https://www.seihiguchi.com/2018/12/ridge-vineyards-somm-3-pinot-noir.html

この Somm 3, ドキュメンタリー では最終ラウンドまで進んだ 1 本。


現時点でこれら Pinot Noir を比較して飲んだ感想としては、
  • Bloom’s Field は単体で飲む分には美味しい。salinity (塩味) が強めと感じた → 葡萄畑の土壌にミネラル分などが豊富ということらしい。Etude によくある華やかな香りが控えめ。
  • 今日比較した、Petaluma Gap (Ridge), Forte (Etude) の 3 本の中では、Forte が一番自分の好みに合っていた。
  • お値段を考慮すると、Petaluma Gap は秀逸。



Ridge: Klein Cabernet Sauvignon, 2017
Klein の畑の葡萄でできた 100% ブレンドなしの cabernet sauvignon.
バランスがすばらしい。酸味、渋味 (tanning) が落ち着き、まだまだ成長しそうです。




Promontory: Penultimate, Napa Valley Red Wine, 2018
Bordeaux ブレンド。詳細の内訳は不明だが、cab が主体。
zinfandel のような太さ、濃さを出しながら、適切な酸味もあり、洗練された味わい。
2018 年で成長過程にあるとは思うけど、完成された味か?
Oakville の cab, Bordeaux ブレンドに特徴的な傾向。
すごい一本を飲ませていただきました。