Tuesday, April 22, 2025

山廃仕込みとは | 日本酒について調べてみた

 


日本酒を飲んでいてよく見る「山廃仕込み」、「山廃純米」など、謎の「山廃」。

ポイントとしては、「山廃仕込み」と、そうでない「non-山廃仕込み」(生酛仕込み) のお酒の違いは酒母の作り方が違うそうだ。

山廃は略称で、正式には「山卸廃止酛仕込み (やまおろし はいし もとじこみ)」。
(酛 = 酒母のこと)

明治時代、政府の先導でつくられた国立醸造試験所で1909年に開発にされた方法で、清酒の歴史上では割と最近。

「山卸」(やまおろし) という作業を廃止して(省略して)つくった」 → 山卸廃止 → 山廃。



そもそも日本酒の原料や作業工程


※本当は蒸しの前に、米を洗ったり、浸水する大事な工程などありますが、簡単のため省略しています。


日本酒の原材料は、米、水、麹菌、酵母です。

米を蒸し、麹菌を加えると、米のデンプンが分解して糖化する。

焼き芋や天ぷらを作る時に、さつまいもを加熱してデンプンを加水分解すると甘くなる原理 (加水分解) かも?

このときに同時に、米のタンパク質をアミノ酸に変化させて、旨みや香味成分も作り出している。

次に (麹菌が作った) 糖分が、酵母によってアルコール発酵される。

この発酵過程では、酸や香味成分が作り出され、日本酒の香りに影響し、酸は微生物の発生を抑える役割をする。

ワインと違うのは、大きく分けて 2 段階 ([糖化] → [発酵]) のプロセスでアルコールが生成される点。

上の図にもあるのですが、原料の米(蒸し米) は、3 つ用途があります。

(1) 酒の仕込み / 原料そのもの

(2) 米麹を作る
蒸し米に、麹菌の胞子をばらまくことで繁殖させ、米麹を作る。麹は、米のデンプンを糖にする役割があります (糖化)。

(3) 酒母 (酛)を作る
酒母は、酵母を大量に培養したもの。糖分をアルコールにする発酵を促進する役割があります。

この酵母を大量に培養する手作業の工程が山卸で、非常に大変な作業。

この工程をカットしても、空気中にある酵母菌を使っても美味しい日本酒ができるよね?、という発想で山廃仕込みが開発されたと理解しています。

山卸は、酵母の育成に時間がかかり、温度管理も大変。雑菌が入り込む可能性もあり、失敗のリスクも高いという難点があります。


山卸(やまおろし) とは


山卸とは、伝統的に行われてきた酒母 (酵母を大量に培養したもの) の製法の一つで、蒸した米、米麹、水を櫂 (かい) とよばれる木の棒などで混ぜて、米をすりつぶす作業のこと。

米をすりつぶして、麹を加えるとデンプンが糖化し、そこに酵母が加わるとアルコール発酵をしてお酒になる。

山卸の作業は、数時間から半日 ~ 数日かかり、
仕込む量、作業員数によって変動するのだけど、大変労力のかかる作業。

大変な製造コストを要するプロセスなので、この山卸を省いて作る製法が山廃仕込みというわけだわ。

概念としては、酒蔵の空気中に存在する酵母菌が蒸し米に取り込まれて、自然に発酵ができるのではないか、という発想。

現代では、人工的に乳酸を添加する速醸酛 (そくじょうもと) を用いたり、山廃仕込みが主流になってきている。

逆に、速醸酛も使わず、山卸工程を経ているお酒は、「生酛 仕込み」(きもと) に分類される。

清酒は江戸時代に確立されたが、山卸の作業を含むため、手間が非常にかかる。

お酒のラベルに
  • 山廃仕込み (山卸をしない)
  • 生酛仕込み (山卸をする)
があるのは、こういうことだったのか。

山廃, 生酛, 速醸酛 は、酵母づくりにおいて対をなす工程。

出汁づくりと比較すると
  • 山廃 = 水出し (水に入れて漬けるだけ。簡単だけど結構上品に取れる)
  • 生酛 = 煮出し (温度管理、時間管理など手間が比較的かかる)
  • 速醸酛 = 出汁パックなど、あらかじめ用意されたものを使う
といった感じでしょうか。


 最近いただいた山本酒造のど辛は、速醸酛系酵母を使った日本酒だとわかった。


確かに日本酒度+15 ということあって、他に飲んだお酒が甘めということもあり、辛めだった。ただ、最近の日本酒はフルーティー、爽やか、甘い味わい、甘い香り、洗練さに寄っていると思うので、めちゃくちゃ辛いという印象ではありませんでした。ちょうどよいバランスがとれていると思います。



酒母と醪 (もろみ) の違い


前述のとおり、酒母は酵母を大量に培養したもの。

酒母、麹、蒸米、水の 4 つの材料を、タンクに入れて、発酵させた状態が醪。

[蒸し米] + [酒母] + [麹] + [水] → [醪]

タンク内では、米や麹がドロドロに溶けた白濁した液体になり、この醪を漉すことで、澄んだ原酒ができる。

このまま火入れしないで出荷すると、生原酒になる。

原酒は次に、水や醸造アルコールでアルコール度数や最終的な味わいを調整したり、火入れなどの工程を経て、日本酒ができあがります。


肝心の山廃仕込みの特徴


まだまだ自分の舌では覚えきれていません。
以下、一般的な特徴:
  • 自然の乳酸菌由来の複雑な酸味や旨味。
  • 濃厚で個性的な味わい。
  • 味の骨格がしっかりしている。Zinfandel ブレンド系にある Petite Sirah のような役割か?


山廃仕込みの日本酒



雪の茅舎
秘伝山廃 純米吟醸
ABV 16%
精米歩合 55%
秋田県 齋彌酒造店




加賀鳶
山廃純米吟醸 (金沢限定)
ABV 15%
精米歩合 60%
石川県 福光屋

ラベルには「魚介、出汁のきいたお料理と好相性です」だそう。出汁のきいた「金沢おでん」とか良さそうな気がした。ラベルから引用すると:
  • 甘さのある爽やかな吟醸香
  • 山廃仕込み特有のなめらかで豊かなコク



陽の光
山廃純米 無濾過生原酒 中取り
ABV 17%
精米歩合 70%
奈良県 大倉本家


うー、「中取り」とは?
注意してラベルを見ると新しい言葉が溢れ出る。また調べねば。


参考文献


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