厚底カーボンシューズは履く意味がある。
最終的にレースで履くかどうかは、感覚が合う/合わない、走技術によると思うのだが、スピードが速くなるかどうかに関して言えば、学術研究の面からも立証されていました。
ある研究では (参考文献②)、5'00''/km, 6'00''/km くらいで速く走らなくても1% 前後の改善もみられたとか。
2025年の今の時代 (カーボンシューズ履くの) 当たり前じゃないか、と思うだろうけども、私としては一部のエリートにとって恩恵があるだけで、一般人には恩恵が薄い、みんなが履いているから履くくらいのものだと効果を疑っていた。特に 4 分/km も超えないペース帯では、ちゃんとカーボンをしならせる力を加えられないんじゃないかと。
未だに主観的に明確な効果を感じ取れてないのが理由だと思います。
実際、カーボンシューズは最新のものではないが 2 つ使っていて (HOKA Carbon X 3 と ASICS Magicspeed 3)、まだいまいち恩恵を受けられているかどうか、主観的な速くなるという感覚を得られていない。
カーボンプレートは、その反発効果を最大限に引き出すために、ある程度強い力を加えてしならせる必要があります。物理法則上、強い力を加えるには速いペースで走る必要があるため、ペースが遅い場合はプレートがしならず、単に硬い履き心地のシューズになってしまいます。
むしろ、定価10,000円を切る価格帯の ASICS Hyperspeed の性能が非常に高いとも言えるかも。この夏は結構感動して、Hyperspeedを 2 足購入し、ジョギングからインターバル、距離走まで幅広く使っています。
厚底カーボンプレートシューズを履くことで、タイムが改善することは間違いありません。大まかな目安として、改善率は 3% 前後と覚えておくと良いかな? その効果を最大限に得るには、ある程度速いペースで走るのが理想的です。
4'37''/km (時速 13 km) でも 2.7% のランニングエコノミーの改善だし、これを踏まえると、フルマラソンでカーボンシューズを履くことには効果がありそう。
ただ最初のマラソンは、ASICS Hyperspeed で走ってみたい気もする。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19424280.2022.2038691
② Effects of a Highly Cushioned Racing Shoe on Running Economy at Slower Running Speeds (2022)
https://sportrxiv.org/index.php/server/preprint/view/141/235
実際、カーボンシューズは最新のものではないが 2 つ使っていて (HOKA Carbon X 3 と ASICS Magicspeed 3)、まだいまいち恩恵を受けられているかどうか、主観的な速くなるという感覚を得られていない。
HOKA Carbon X 3
おそらく、(1) 反発をうまく受ける走技術が未熟である、(2) そもそもレースのスピードが遅い、のが理由だと考えています。
昨年から抱いていた「カーボンシューズを履く効果はあるのか?」という疑問について、いくつか学術論文を読んでみた結果、靴の内部にカーボンプレートが入ったいわゆる厚底カーボンシューズには、確かにその恩恵があることが納得できた。
エリートレベルの 3’00’’/km (時速 20 km) やそれ以上速いペースでで走らなくても、恩恵は得られる。
物理的ポテンシャルを使い切ることはできないが、メリットの一部を享受して、タイムを良くすることは可能だ、というのが現時点での結論。
研究論文からわかったこと
実験の条件について
- NIKE Vaporfly (NVF) と NIKE Alphafly (NAF) は、実験において圧倒的な性能の高さを示し、最も実験対象として頻繁に使用されるモデル。
- 読んだ論文が 2018-2022 年に発表されたため、まだまだ NIKE 一強という時代背景。
- 多くの論文で、カーボンプレートが入っていない比較対象のシューズとして、ASICS の Hyperspeed (AHS)が使われています。これは非厚底カーボンシューズの代表格とされている感あり。
肝心の実験結果について
- 時速 13 kmから18 km (4分37秒/km~3分20秒/km) のペースで走るランナーを対象とした実験では、ランニングエコノミーが 2.7%〜4.2%* 改善し、タイムの短縮に繋がることが確認される。当然ながらペースが速いほど、改善率も高い傾向にある。これは速度が上がるほど、接地で足が地面を押す力が増すため、よりプレートをしならせる。
- 各社のカーボンシューズでもランニングエコノミーの改善率には大きな差があり、NIKE Alphafly がトップ、次いで NIKE Vaporfly と ASICS METASPEED という結果 (参考文献①)。
- 繰り返しになりますが、これらは2022年以前に発表された論文のため、当時はまだNIKEの一強時代。2025年現在では状況は大きく変わっていると思われます。
- 遅いペース(時速 10 km~12 km、6分00秒/km~5分00秒/km)での検証結果もあり (参考文献②)。この場合でも 0.9%〜1.6% の改善が見られます。
カーボンプレートの物理的特性
カーボンプレートは、その反発効果を最大限に引き出すために、ある程度強い力を加えてしならせる必要があります。物理法則上、強い力を加えるには速いペースで走る必要があるため、ペースが遅い場合はプレートがしならず、単に硬い履き心地のシューズになってしまいます。
体重が重ければプレートをしならせやすいかもしれませんが、長距離走において肥大した筋肉は邪魔になるため、体重を増やすことは現実的ではありません。
遅いペースでの効果に関する研究は、2021年のボストンマラソンで3時間15分を切るランナーが全体の20%程度であるからも (参考文献②)、多くのランナーにとって時速 13 km〜18 kmで走り続けることは非現実的であるという動機に基づいていました。
メーカーも、より広い 80% の市場をターゲットにするため、時速 11 km前後 (5’30’’/km 前後) のランナー向けに Pebax 樹脂製のプレートを搭載したシューズや、ASICS の S4、YOGIRI といったモデルを開発していると考えられます。その方が、事業的にも儲かるかも。
個人の感覚では、時速 17 km (3’30’’/km) を切るような5 kmのラストスパートや、1500mの練習ペース(3’20’’/km)では、速いスピードの維持がしやすいように感じます。
遅いペースでの効果に関する研究は、2021年のボストンマラソンで3時間15分を切るランナーが全体の20%程度であるからも (参考文献②)、多くのランナーにとって時速 13 km〜18 kmで走り続けることは非現実的であるという動機に基づいていました。
メーカーも、より広い 80% の市場をターゲットにするため、時速 11 km前後 (5’30’’/km 前後) のランナー向けに Pebax 樹脂製のプレートを搭載したシューズや、ASICS の S4、YOGIRI といったモデルを開発していると考えられます。その方が、事業的にも儲かるかも。
個人的な使用感
個人の感覚では、時速 17 km (3’30’’/km) を切るような5 kmのラストスパートや、1500mの練習ペース(3’20’’/km)では、速いスピードの維持がしやすいように感じます。
しかし、単に必死に全力で走っているだけで、そう感じているという思い込みだけかもしれません。
時速 16 km (3分40秒/km) 程度のペースでは、主観的な違いは分かりませんが、タイムを比較すると楽に走れているようです。
結局のところ、走りの技術が未熟なのか、それとも HOKA Carbon X のランニングエコノミー改善効果が低いのか、あるいはその両方なのか、という疑問が残りました。
時速 16 km (3分40秒/km) 程度のペースでは、主観的な違いは分かりませんが、タイムを比較すると楽に走れているようです。
結局のところ、走りの技術が未熟なのか、それとも HOKA Carbon X のランニングエコノミー改善効果が低いのか、あるいはその両方なのか、という疑問が残りました。
参考文献① によると、「Hoka RX (51.67 ± 2.07) と Brooks HE2 (51.42 ± 1.72) は、Asics HS (51.71 ± 2.02) と有意な差が見られなかった」と報告されていました。(“Hoka RX (51.67 ± 2.07) and Brooks HE2 (51.42 ± 1.72) did not differ from Asics HS (51.71 ± 2.02). “)
ここにでてくる 51.42 とかいう数字は、酸素摂取量 (VO2)。5K のベストが 16 分前後のランナーを 12 人集めて走行テストをし、3'45''/km で 5 分走らせたときの酸素摂取量を計測した結果になります。5K が16 分前後だと VO2MAX 64 くらいでしょうか。
ここでいう HOKA RX は、Rocket X の初代モデルを指します。これは、時速 16 km (3分45秒/km) のペースで走った際の酸素摂取量(楽に走れたかどうかを示す指標)において、ASICS HS (Hyperspeed) とランニングエコノミーにが見られなかったことを意味します。
このことから、僕が使っているその前の世代の Carbon X (先に出てきたオレンジの靴) で効果を感じられなかったとしても不思議ではないかも。まぁ、普段の靴より跳ねるかなぁ? という感触はありますが。
ここでいう HOKA RX は、Rocket X の初代モデルを指します。これは、時速 16 km (3分45秒/km) のペースで走った際の酸素摂取量(楽に走れたかどうかを示す指標)において、ASICS HS (Hyperspeed) とランニングエコノミーにが見られなかったことを意味します。
このことから、僕が使っているその前の世代の Carbon X (先に出てきたオレンジの靴) で効果を感じられなかったとしても不思議ではないかも。まぁ、普段の靴より跳ねるかなぁ? という感触はありますが。
むしろ、定価10,000円を切る価格帯の ASICS Hyperspeed の性能が非常に高いとも言えるかも。この夏は結構感動して、Hyperspeedを 2 足購入し、ジョギングからインターバル、距離走まで幅広く使っています。
ASICS Hyperspeed 5 (部活生シューズ?)
現時点での結論
厚底カーボンプレートシューズを履くことで、タイムが改善することは間違いありません。大まかな目安として、改善率は 3% 前後と覚えておくと良いかな? その効果を最大限に得るには、ある程度速いペースで走るのが理想的です。
4'37''/km (時速 13 km) でも 2.7% のランニングエコノミーの改善だし、これを踏まえると、フルマラソンでカーボンシューズを履くことには効果がありそう。
もし改善率が 3% 程度のランニングエコノミーの改善が妥当だと仮定すると、フルマラソン(180分)での3%の改善は5分24秒に相当します。
平均ペースでは、約 7.6 秒/km 速くなる。仮にもっと小さくて 5 秒だったしても嬉しすぎる。
このタイム短縮はかなり大きいし、給水やトイレ休憩、ちょっとアクシデントが発生することを想定しておくと、レースペースにも余裕ができていいかも。
とりあえず、最初に使ってみたいのは HOKA の ROCKET X 3。カラーバリエーションもようやく 2 つになり、もうちょっと待つとさらにオプションが増えないかどうか期待しています。
とりあえず、最初に使ってみたいのは HOKA の ROCKET X 3。カラーバリエーションもようやく 2 つになり、もうちょっと待つとさらにオプションが増えないかどうか期待しています。
ただ最初のマラソンは、ASICS Hyperspeed で走ってみたい気もする。
結局 4'10'' ~ 4'15''/km のペースが中強度のちょっとしんどいくらいに感じられるくらいのトレーニングを積めれば、要はちょっとしんどい 40km ロング走をする練習に近くなるわけであって、特にカーボン入りのシューズを使ってスピード利得をする必要がなくなるし。
他に候補としては HOKA Mach 6。これまたカーボン入ってないけど、ジョギングからインターバルまでいろいろ使っていて好きです。Mach 5 から数えると 3 足買いました。不安なのは、ちょっと左右の安定性が低いかも?
HOKA Mach 6
今年 2 回のハーフマラソンは、ちょうど足が痛くなったタイミングもあり、足に優しいクッションということで結局 NOVABLAST 5 にしました。4'10''/km 前後で、80分後半で走る分には全然これでいい気がしました。
最後 5 km で3'58''/km くらいにペースを上げようと思ったときは、筋持久力がつきたのか、地面をうまく押して加速するのがしんどかった。もしかすると、プレート入りにすると、レース後半で効果的に地面を押せるようになるのかもしれません。
やっぱこれ、ASICS の傑作の一つだと思います。
通勤用に履くのもいいですね。
ASICS NOVABLAST 5
参考文献
① A comparison of running economy across seven highly cushioned racing shoes with carbon-fibre plates (2022)https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19424280.2022.2038691
② Effects of a Highly Cushioned Racing Shoe on Running Economy at Slower Running Speeds (2022)
https://sportrxiv.org/index.php/server/preprint/view/141/235
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